会長挨拶

産業遺産学会会長 横山悦生

 本学会はまもなく創立45年を迎えます。私自身がこの学会に入会したのは、1990年頃だったように記憶していますが、当時は本の世界でしか存じあげなかった先生方とじかに接することができ、とても感動した記憶があります。創設時には800名近く会員がいたと聞いておりますが、現在では300名をきり、このまま放置すれば学会が自然消滅して行く危惧をいだきました。それで、迷うことなく会長に就任いたしました。それまでに理事長を6年間務めましたが、後半の3年間は改革を進め、正常な運営を行うべく、大鉈を振るってきたところです。「理事たるもの私心を捨て学会のために尽すべし」と考え、そうでない理事には交代いただき、また理事の任期制も導入して常に若返りしていくような仕組みを創出し、理事会を常に活性化するために努力してきました。創立からの「産業考古学会」という名称を「産業遺産学会」に改名し、事務局の委託先を変更し(これらのこと自体も大変でしたが)、財政的には会員が二百数十名になっても長期的に維持できる体制をつくりました。
 時代はデジタル化の大きなうねりの中にあります。本学会の運営にもICTを本格的に導入し、学会活動は大きく変わりつつあります。例えば、以前は年4、5回の理事会をもつことが精一杯でしたが、zoomを活用することにより、毎月1回の定例理事会を開催し、年2回はできるだけ対面で理事会を行うことも追求しているところです。近い将来zoomによる公開学習会(会員であれば誰でも参加できる会)を開催します。学会誌の充実度も大きく変えます。また、ニューズレターに加え、新たにメルマガを発行することで、本学会の取り組みをより多方面の方々にお知りいただくことができるようになると期待しています。会員の皆様とともに本学会を発展させていくことはもちろん、まだ本学会に入会されていない方もぜひ本学会にご入会いただき、ともに楽しく学びつつ、ともに歩んで行かれることを切に願っております。